アロー(いらくさ)糸の精練工程。
木灰汁で糸を煮ることで汚れを落とします。
同時に先媒染の効果もあります。
ネパールの山間部のジャングルで採取され、
繊維を取り、紡がれた糸は
作業環境及び工程上、汚れが多く含まれています。
汚れを綺麗に落とすことで染色性も上がります。
木灰汁作り。クヌギやナラの類を燃やした薪ストーブの灰を頂き、
それを使っています。
木灰を篩にかけ、熱湯を注いで攪拌。
後は木灰が沈澱するのを待って、上澄み液を使います。
素手で触ると手がヌルヌルする位の高アルカリ性、
pH12を越えるような溶液です。糸の精錬の他、
糸染めの時の媒染、藍建てに使います。
木灰汁を仕込んで2日後、木灰が沈澱して綺麗な木灰汁が出来ました。
pH12(この試験紙ではph12が測定限界です)。
これを濾して、希釈した溶液で糸を煮て、汚れを落とします。
この作業を精錬といいます。
木灰汁で精錬中のイラクサ(アロー)糸の様子。
左は火にかけた直後。右は30分程煮た状況。
溶液が茶色くなり、汚れがどんどん出てきていることが解ります。
糸の精錬が終わった後の木灰汁。
ほぼ透明だった溶液がこんなに汚れて茶色くなりました。
そして最初pH11.5程度だった溶液がpH7、ほぼ中性に。
木灰汁で煮た糸はよく水洗い、脱水をし、
糸をよくよくさばいてから干します。
写真は汚れもすっかりおちてさっぱりしたアロー(いらくさ)糸。
これらの糸をまた色や質によって選別します。