染織家 西川 はるえ の日記
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アローについて その3
ネパールのアローって何?とブログに書き始めながらも
すっかり止まってしまっていましたが、
....この夏が熱すぎたということで許してくださいっ(汗

気を取り直して、また書いていきます。
今までの記事はこちらです。

アローについてその1

アローについてその2

日本でのいらくさの利用




アロー(allo)はネパールでの呼び名です。
ネパールにはsisunu(シスヌ)と呼ばれるイラクサが数種ありますが、
その内の一種がALLO(アロー)と呼ばれます。
英名はHimalayan giant nettle といいます。
アローはイラクサ科の植物で、ラミー(Ramie)、苧麻(ちょま)の仲間です。


アローは主にネパール北部の標高1,200〜3,000mの高地に生える
巨大なイラクサ(ネトル/nettle)の一種で 高さは3m、
茎の直径は4cmにも育ち、葉、茎、花と全体に刺に覆われています。
12月頃緑色の小さな花を咲かせ、モンスーンの4月から6月に
種や多年生の根や茎から発芽します。

千年以上以前から、ヒマラヤ中部山岳地帯の民族、
マガール族、タマン族、グルン族、 そして特にライ族によって、
衣料、マット、袋、魚網、ロープ等そして食料に 必要とされてきました。




アローの収穫

土地ごとに多少の違いはあるようですが、
アローの収穫の様子は以下のようなものです。


収穫シーズンはモンスーンの終りの8月から花が咲く前の12月頃まで。
白くてよい品質の繊維はシーズンの最初に採れ、
標高の高いところのものほどよいと言われています。

収穫の時期には村から離れたアローの採取地に
男女が数日かけて採取に行きます。
成長した一番太い茎のみ
新たに発芽できるよう地面から15cm位残して切ります。
細い茎のものは種が出来るように残します。

採取者は茎を切り、葉やトゲを落とす時には
トゲから手を守るために手を布でまきつけて作業します。
そして歯と手足を使って外皮と繊維の層を内側の茎の部分から分け、
外皮と繊維の層を持ち帰り、内側の部分は捨てます。

1日に一人が収穫出来る量はだいたい1マウンド
(マウンドはポーターが背負う籠1杯の量の単位で約37.2kg)。
100gの生のアローの皮から採取出来る乾燥した繊維は最高でもたった5g程ですので
1日収穫した繊維から取れる繊維は2kgにも満たないことになります。


(参考資料:"Nepalese Textiles /Susi Dunsmore)




私が録った画像ではありませんが、繊維を採る様子が動画で見られます。
わかりやすいですね!




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日本でのいらくさ利用
日本でのイラクサ(刺草、ミヤマイラクサ)の利用について
今まで本腰を入れて調べたことがなかったのですが、
色々資料を探しているとあるものですね。



日本でもイラクサは大麻、葛、苧麻、シナなどと同様に
縄文の昔から使われていたようです。
日本最古の布といわれるアンギン編みにも使われていたとか。
山菜としては今も食べられていますが、
繊維を取って糸にすることも明治の頃までは行われていたようです。
今はすっかり途絶えてしまっているようですが。。。



先日のブログ記事「アローについてその2」
『アイヌの人達がいらくさの繊維を採取して布を作っていたという
話をきいたことがある』と書いたところ、
日本の古布や着物などを主に海外に通販なさっている
ICHIROYAさんから、サハリン(樺太)のアイヌの人達が
イラクサを布にして纏っていたという資料を譲って頂きました。
本当に有り難うございますーーー!!
(ICHIROYAさんは間もなく日本国内向けのサイトも公開されるとのことです!)


他にも日本でのいらくさ情報を寄せて下さった方
何名もいらっしゃいまして、感謝するばかりです。
本当に有り難うございます!




日本での「いらくさ」の利用について
ご存知の方いらっしゃいましたら教えていただけたら嬉しいです。
もうちょっと資料が集まり、
5月の三渓園での「日本の夏じたく展」が終わりましたら
「アローについて 番外編」ということで書きたいと思っています。





*暫く制作が多忙のためブログの更新があまり出来そうにありませんが
 ご了承くださいませ〜〜(汗






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アローについて その2
お待たせしました!
ようやく、アローについて その2 です。
 
アローについて その1

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アローをスピンドルで紡ぐ
アローの糸、繊維、竹の棒に水牛の角で作った錘がついたスピンドル(紡錘)




アロー(allo)はネパールでの呼び名です。
ネパールにはsisunu(シスヌ)と呼ばれるイラクサが数種ありますが、
その内の一種がアローと呼ばれます。
英名はHimalayan giant nettle といいます。
アローはイラクサ科の植物で、ラミー(Ramie)、苧麻(ちょま)の仲間になります。


日本でもアイヌの人達がいらくさの繊維を採取して布を作っていたという
話をきいたことがあるのですが、私は実物を見た事がありません。
どなたか情報お持ちの方いらっしゃったらぜひ教えてください!




ところで、「イラクサ」というとアンデルセンの
この物語を思い出す方も多いのではないでしょうか。




「野の白鳥」

エリサという少女が、継母によって白鳥に変えられてしまった
11名の兄弟の王子の魔法を解くため、
火ぶくれになりながらもイラクサを摘み取り、
紡いで糸にして長袖の上着を編む・・という物語です。

ヨーロッパでも昔からいらくさ(nettle/ネトル)は身近な植物で、
ハーブ(薬用)として、またスープなどにして食べたりもされているそうです。
(中世ヨーロッパでは拷問にも使われていたとか?!)



エリザの手足をイラクサが火ぶくれにしてしまったように、
ネパールのアローにも茎や葉にとげがびっしりついていて、触ると痛痒くなります。
棘にはヒスタミンなどが含まれているようです。

私も以前ネパールでトレッキング最中に、アローを知らずに触ってしまい、
2,3時間手がじんじん痺れてしまった・・という経験があります。
ネパールの人たちは採取のとき、手に布を巻いたりもするようですが、
素手に近い状態で、一度に何百本も刈り取るわけですから、
本当にたくましい!と思います。

ちなみに、糸になっているものにはかゆみをおこさせる成分は
含まれていないのでご安心ください。







youtubeでアローについて解り易くまとめた動画を見つけました!(英語)
アローがどんな植物かよくわかります。

若葉を摘んでお茶にしたり、料理をしたり、
(素手で触れないように竹で作ったハサミを使っています)
アローの繊維(皮)をはいで採取するところや(強い歯!)
糸をスピンドル(紡錘)で紡ぐところも見られます。
山道を歩きながらアローの糸を編んでいる女の人も。




次回は「アローについてその3」は
アローの採取について
書いていこうと思います!



日本でのいらくさの利用

アローについて その3






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アローについて その1





私が使っているアロー(いらくさ)とヘンプの糸について
HPウェブショップには
詳しい説明を掲載していますが、
ブログではそういえばしっかりと触れたことがなかった!!
仁平さんご指摘感謝です!)

と、いうわけで今日から何回かに分けて
まだまだマイナーな素材、
ネパールのアロー糸について書いていこうと思います。





私が最初にアロー糸と出会ったのは1997年。

そして、糸を使ってみようと
ネパールからまとまった量を持って来たのは
2000年、今から10年前のことです。

当時はまだ沖縄の芭蕉布工房で働いていており
息子、はじーは1歳前の赤ん坊でしたが
親子二人、えっちらおっちらネパールへ行き1ヶ月ほど滞在。
帰りに糸を詰めて帰って来た、というのがはじまりです。

それから10年も経ってしまいましたよ!!


そもそもどうして私、西川が
ネパールのアローとヘンプの糸を使うようになったのか
その遍歴(?)については
マリア書房さん出版の
創作市場45 手織りに遊ぶ
の特集「布を巡る物語」に掲載して頂いています。
ご興味のある方いらっしゃいましたら(いないかも、、)ぜひご覧ください!






アローについて その2

日本でのいらくさの利用

アローについて その3





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