染織家 西川 はるえ の日記
<< October 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 東京・吉祥寺 OUTBOUDさん | main | 神奈川・葉山町 小禽(kotori)さん >>
「新井淳一の布 伝統と創生」展
「新井淳一の布 伝統と創生」展


先日、専門学校時代の恩師、テキスタイルプランナーの新井淳一先生から
展示会のご案内を頂き、昨日(1/20)見てきました。
言葉足らずな部分も沢山あるのですが、忘れてしまわないうちに感じたことを少し...

ーーー

今回の展示会は大きく3つのセクションに分かれており、そのうち2つのセクションが布の展示、3つ目のセクションは画像と音声での構成となっていました。


ギャラリー1のキーワードは「自己組織化」。自己組織化とは、あらゆる物質が持っている自分自身で組織や構造を作り出す性質・・・このキーワードで何かとても腑に落ちる思いがしました。(学生だった当時もきっとこういうお話はして下さっていたのだと思うのですが、覚えていない自分が残念です…)

新素材(様々な金属によるスリットヤーン、ポリエステル…)、新しい技法(真空熱転写、プリーツ加工、メルトオフ…)と古くからの素材(絹、ウール、綿…)古くからの技法(絞り、ジャカード、二重織..)それらを縦横無尽に扱った新井先生の布には、鉱物や樹木、地表、大気などの自然物のような存在感、佇まい、原始的な力を感じます。

先生は布や繊維、物質が持つ「自己組織化」という力をあらためて発見し、その力をさらに増幅させ、視覚化・触覚化させる、そのために新旧を問わない様々な素材や技法という力を使っていらしたのだ、ということ。その結果、完成した布には自然物と共通した、人の意図を超えた存在感や波長があるのだ、ということ・・
例えば強燃糸(強く撚りをかけた糸)と普通の撚りの糸を組み合わせて多重織に使うことで、撚りが大きく戻る部分とそうでない部分が出来、思いもかけない動きと表情を布が作り出す。金属糸を使って織られた布を絞り、薬品を使うことで部分的に反射・透明・溶解の表情を作り出す。織物のテクスチャーを何度もコピーし構成し、それを柄としてジャカードで織る・・・そしてもちろん安易に「自己組織化」という力や偶然性に丸投げしている訳ではなく、実験と観察、それを踏まえての意図とデザイン、技法や素材の選択があり、だからこそそれぞれの布がそれぞれに「自己組織化」を遂げて完成しているのだ、ということを感じたのでした。

ギャラリー2のキーワードは「精神と祈り」。ギャラリー1では布の物質的な力強さ、有機性を感じさせる展示となっていましたが、こちらでは布の精神性、物質という実体ではない「何か」を意識させる展示となっていました。2013年、最新の作品の題名が「プラクシス(実践)」。巨大な壁面全体を被う白い布の集まりから、より高い次元へ、物質から精神性へ、、という80歳を超えられた先生の祈りと気迫のようなものを感じずにはおられませんでした。



蛇足ですが...大塚テキスタイル専門学校時代に先生に見せて、触らせていただいた布、素材も沢山あり、懐かしく、また贅沢な時代だったのだな、と改めて思いながら会場を後にしました。




新井淳一の布 伝統と創生

新井淳一の布 伝統と創生
2013年1月12日(土)〜3月24日(日)
東京オペラシティ アートギャラリー
https://www.operacity.jp/ag/exh148/





----------



菱形

新井先生の布は学生時代に展示をお手伝いした時に頂いた布片以外持っていませんでした。
展示会場で見てとても気になった「菱形」という名の布のストールをギャラリーショップで見つけ、
勢いで手に入れてしまいました。大事に使おうと思います。。。

ギャラリーショップ 《ギャラリー5》
https://www.operacity.jp/ag/gallery5/



JUGEMテーマ:アート・デザイン


COMMENT









Trackback URL
http://blog.textile-cocoon.com/trackback/1268772
TRACKBACK