染織家 西川 はるえ の日記
<< December 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
アンティーク・レース展 松濤美術館


この度の西日本豪雨で被害に遭われた方、また直接ではなくとも身近に痛ましい状況があるみなさまに心からお見舞申し上げます。一日も早く日常が戻りますように。


―――――


七夕の日、渋谷の松濤美術館で開催中の「ダイアンクライスコレクション アンティークレース展」に。この4月の横浜そごう美術館で開催中は忙しくて行かれなかったので、ようやく!です。


ダイアン・クライスさんのコレクションの質と量の素晴らしさ、保存状態の良さに感嘆しました。個人でこれだけの時代と地域を網羅した一級品を集め、きちんと分類し、保管し、そして時にはこのように展示品として貸し出す、、、並大抵の情熱では出来ない事だと思います。


上質な亜麻(リネン)糸、超極細糸による超絶技巧のレースの数々にクラクラ。。。 これは上流階級の人たちが「面子をかけて金を惜まず」競ってよいレースを作らせた成果。目の前にあるレースそのものはただただ美しいだけですが、その背後にあるものはただ美しい、と いうだけではなく…こういう最上級の手仕事というのは、人の欲望と経済を原動力として発展していくのだという事実を改めて思います。


16世紀のイタリアで生みだされたレースはまた、大航海時代以降のダイナミックなヨーロッパとアジアの間の文化の交流も感じられるものでした。アンティークのレースにはインド更紗やカシミールショールなどの影響を感じずにはいられないものがいくつも。産業として膨大な良品を生み出している時代の手仕事には、地域を問わず共通の波長があり、それがより「似ている」と感じさせるのかもしれないなあ、とも思います。


そして産業革命以降、社会状況の変化とともに、徐々に手仕事が廃れていき、それを憂いた人がなんとか復興させようと努力をし、、、というのは世界中で共通することで、、、 .


惜しむらくは、個々の作品に素材の明記がなかったこと。多分ほぼリネン、時々シルク、と思われましたが、もしかしてコットン?というものも。漂白されたリネンかもしれませんが、、 .




と、何だかんだいいましたが、簡単にいえば、たたただすごかったです。欲しいものだらけでした!!ので、せめて図版だけでも…と購入しました(笑)



展示は松濤美術館にて7/29まで。松濤美術館は建物もすてきでおすすめです。




◎instagram 

https://www.instagram.com/cocoon_oharu 

◎facebook

https://facebook.com/TextileCOCOON/






JUGEMテーマ:アート・デザイン

手描きジャワ更紗 reisia


手描きジャワ更紗reisiaの藤井礼子さんによる「ジャワで帯作り」のお話会が、山種美術館近く、めぐたま食堂さんにて。真夏の東京、涼しげなお着物のお客様も沢山いらっしゃって盛況でした!



藤井さんのお話はとても面白くて、あっ!という間の時間でした。複数の言語に精通している方には日本語オンリーの人とは異なる、独得の心地よいお話のリズムがあるような気がします。



「日本の着物の帯」に特化して作られたレイシアさんのジャワ更紗は、柄、文様の配置、色、そして使う布の素材にまで気が配られていて、だからこそ着物好きの人たちのハートをがしっと掴むのだなあと。それにしてもここまで来るのに本当に色々なハードルが!藤井さんは笑ってお話になってはいましたが…いやー聞いているだけで冷や汗が、、、



お話の後はめぐたまさんによるおいしい手作りインドネシア料理。ご一緒のテーブルのみなさんと和気藹々と舌鼓を打ちました。久しぶりにライターの雨宮みずほさんにもお目にかかれて嬉しかったです。



で、藤井さんと西川は青木奈緒さんの著書「誰が袖わが袖」ご一緒させていただいておりますんですよ!!というアピールが最初の写真でございますー(笑) 

「夏のほとり」


「このお着物にあわせた帯を西川さんに作って欲しいと思って」とお客様が見せて下さったのは松原利男さん作、本藍長板中形のめちゃくちゃ素晴らしい着物の画像。ワタシでよいのかしら、なんて内心ドキドキしながらうちの縞帳や今まで作った帯の画像を見ていただくと、ほとんどお客様は悩まれることなく、ある帯の画像を選ばれ「この藍の帯のイメージで」と即決されました。


自分のスタイルを持っているお洒落な方は、イメージが明確に「見えている」!それをリアルな形に落とし込み、さらにご期待以上のものを作ってお渡ししたい。作り手としては、ワクワクでもあり、ドキドキ怖くもあり…


そして、とうとう、そのイメージが、昨日、現実のものに。お客様が着姿をインスタにアップして下さいました。拝見して、ああよかった、ちゃんと出来ていた、、と心からの安堵。 


帯の銘は「夏のほとり」。

お着物の柄の、朝顔が絡まる竹の垣根の間から、水辺の景色が見える…そんなイメージで、濃い藍地に細めの縞を何種類か取り混ぜて織り込みました。


藍と白の世界に、古い陶器のかけらの帯留めと竹のバックがリズムを作って、日本のどこかの可愛いお庭で涼んでいるような景色が浮かんできました。クールな中にほのかに可愛らしさが香るコーディネート♡


心からとっても幸せなお仕事でした!





「インド カッチの布と暮らし 7名の職人を迎えて」


昨日は吉祥寺OUTBOUNDさんへ。

「インド  カッチの布と暮らし 7名の職人を迎えて」というCALICO代表の小林史恵さんと、インド 北西部パキスタン国境に近いグジャラート州、カッチ地方 から来日された7名の職人さんたちのお話会に参加してきました。



CALICOさんは2012年に設立された、インドの手仕事布の持続的発展を支援するブランド。「インドと『日本』」だからこそ出来ることをしなくては意味がない、と仰る史恵さん。8世紀ごろインドから三河に綿の種子が伝わったものの日本国内での栽培は一旦途絶え、そののち輸入品として珍重された古渡更紗、島渡り、唐桟 などの綿、キャリコ。江戸時代に入り国産の綿の爆発的な広がりによって日本人の生活を変えた綿(大きく脱線して近代世界史を紐解けば、インドのキャリコはイギリスの産業革命の原因のひとつでもあり、新大陸アメリカの黒人の歴史にもつながるお話になりますね..)。落ち着いた丁寧な語りの中に小林さんの熱い思いを感じました。はじまったばかりという古渡更紗プロジェクト もとても楽しみです。



1980年代、伝統的な技術や部族の文化の伝承が途絶えつつあることに危機感を持ちアクションを起こしたのが今回来日した世代の1つ前の世代の人たち。90年代にこの地方を襲った干ばつ、2001年の大地震という環境的な苦難から、さらに団結力が高まり、若い世代に受け継がれているようにも感じられました。彼らが職人でもあり、同時にタフな商人でもあることの意味。日本の産地、職人、作り手達も見習うべきところもあるのでは、と思います。



人工的なものに囲まれ生活をせざるを得ない私達には、無意識にせよ意識的にせよ、土の匂いのするもの、人間臭さ、手仕事のゆらぎ、人によっては背後に精神性や呪術的な物語のあるもの惹かれて、身の回りに置いたり身につけたりしたい、という欲求が生まれるように感じます。過剰な物語やスピリチュアリティは取り扱いが難しく、距離をおきたい、というのが私の個人的な立場ですが、高度なテクノロジーと手仕事が共存し、お互いに影響を与え、なにより「手仕事で経済的にまっとうな幸せな生活を送ることが出来る」世界になってほしいと願います(→自分が切実、笑)



蛇足ですが、1994年にカッチ地方を訪れた時の写真をいくつか持って行き職人さんたちに見ていただいたら、アジュラック染めの職人さんが「これは僕の叔父さんだ」と、スマホで写真を撮っていかれました。24年前、まだ学生だった自分にこんな面白い未来があるよと教えたくなりました。


写真は小さな戦利品。


House.の革の道具、CALICOの布と衣服

2018年6月23日[土] – 7月6日[金]|11:00 – 19:00

6月26日,7月3日[火]休み

OUTBOUND

東京都武蔵野市吉祥寺本町2-7-4-101

日本の夏じたく 2018
日本の夏じたく
扇子入れ  西川はるえ
Hand fan case by Harue Nishikawa



日本の夏じたく 2018
横浜 三渓園 2018年5月17日〜19日

鶴翔閣[西川はこちらにおります]
17日(木) 14:00〜18:00
18日(金) 11:00〜17:00
19日(土) 11:00〜17:00


旧燈明寺本堂
17日(木) 14:00〜17:00
18日(金) 10:00〜17:00
19日(土) 10:00〜15:00


日本の夏じたくHPから、三溪園入園料割引券をご利用いただけます。
https://n-natsu-s.jimdo.com/




◎instagram https://www.instagram.com/cocoon_oharu/
◎facebook page https://www.facebook.com/TextileCOCOON

JUGEMテーマ:着物 きもの